-以下、備忘録

ご笑覧下さい。笑えねーけど。

YOU ARE NOT ALONE -真の由なき日々③

YOU ARE NOT ALONE それは実に暖かく、穏やかな勤労感謝の(11月23日)の事でした。悲惨な事態に陥って早一ヶ月が経過し、相も変わらず自宅療養中。そう、勤労に感謝するべき国民の祝日に、きちんと私は休んでいるのです。こんな事、一体いつぶりでしょう。そんな感慨はどうでもよろしくて、日中は公園で次女と遊んで過ごしました。茂みを森に見立て探検の旅へと出て、摘んだ蒲公英のお友達である花をあちこち探し回る、そんな子どもの想像力に私は感心しきりでした。いつから、我々はこの心を失ってしまったのでせう。そんなこんなで一日は過ぎ、喫緊の用事など特にない私は、兎に角規則正しい生活をと、早めに床に就こうとしていました。そんな時、突然LINEが届いたのです。てっきり、また代表からかと思いましたが、意外にもそれは大学時代の同級生(♀)からでした。最後に遣り取りをしたのは確か6~7年前、色々あって私が前職のブラックな現場で働き始めた頃でした。内容はといえば、ご結婚の知らせだったかと思います。当時、荒んでいた自分は(今もか)、大層おざなりなお返事をしたのではないか、とも記憶しております。さて、一体何事なのだろう、まさか私のイッチャッてるこの状況を知る由もあるまいて、そう思いつつ開いてみると、その内容はこれまた想定外のものでした。"期限が迫っている映画の券があるのだけれど、使う機会はありますか。ありそうならQRコード送ります" ようやく映画を観られるようになりつつある状態だったので、願ったり叶ったりの申し出。断る理由など1㎜もござんせん。"お言葉に甘えて喜んで利用させて貰います。ご家族共々お元気ですか?" そう、お返事しました(因みに、頂いたチケットを使う為に後日、二子玉川まで渋谷からひたすら246を歩くという愚行を犯しましたが)。その後、ちょいちょい遣り取りをし、最後に私は思わず、こう送信しました。素直な気持ちから出た言葉だったと思います。"久しぶりのご連絡、とても嬉しかったです。また、いつか、何処かで集える機会などあると良いですね" 直ぐに返信が届きました。"喜んでもらえてよかった! 映画チケット使ってくれそうな人といえばまっさきに思い浮かんだよ(笑)。また集まれるといいね。誰かに会う機会あったらゆるっと声かけるね" 彼女にしてみれば、日常生活における何て事は無いLINEの遣り取りのひとつにすぎないでしょう。しかし、微笑みの無料スタンプを送信した後、家族が寝静まった家で独り、私は暫し嗚咽を堪える事が出来ませんでした。こんなにもどうしようもない状態にある、そんな自分の事を覚えてくれている存在が確かにいた、自分はひとりではない、たったそれだけの事実で私は救われた気がしたのです。恐らく、彼女も私も本名でエゴサーチをかけたところで、この情報の海の中、ヒットする事はほぼほぼ無いでしょう。しかし、彼女も、私も、確かに、この世界で生きている。そして、たまに誰かを思い出したりする。たった、それだけの事。

 その翌日(11月24日)、今度は"鉄人"からLINEが届きました。内容はといえば"現場"の声の紹介でした。"いい人だったから、早く良くなって戻って来て欲しい(大意)"という声が寄せられている(ゆうても一件ですが)、との事でした。正直、意外な反応でした(そう発言した相手も含めて)。普段の私ならば"まあ、世間は広いから、奇特な人間も一定数おるわいな"で済ませていたでしょう。しかし、正直に申し上げます。目茶苦茶嬉しかったっす。"この後、滅茶苦茶S○Xした"レベル(?)で嬉しかったです。勿論、"鉄人"にもその気持ちは、オブラートに包んだ上で率直にお伝えしました。小春日和は続きます。

 更に数日後、夜にいきなり故郷の友人達からグループLINEが届きました。決して広いとはいえない私の交友関係ですが、彼らとは小学生時に無理矢理通わされた塾で知り合った後、結局皆、同じ中高一貫校に進学し(田舎は通える私立の学校が少ないけん)、中高6年間に亘る腐れ縁を経て、その後の進路こそ分かれたものの、謂わば"ズッ友"と呼べる関係です。結局、ずるずる東京に居座り続けた私以外は、上京せずに故郷に残った者あり、紆余曲折を経て戻った者ありで、今や会う機会も限られてしまいますが(コロナで帰省もままならなかった時期も挟んでいるので)。何かと思えば"少し早いが、忘年会やろう! 君だけ東京だからTV電話を繋ぐよ!!"との事(結局、当日改めて連絡が来た時に、気分がやや沈んでいたので丁重にお断りしたのですが。酒も呑めないので)。無論、彼らもまた、私の現状を知る由などありますまい。しかし、何なのでしょう、こうも立て続けに連絡が相次ぐとは。虫の知らせ、ってヤツなのかしら。勿論、有難い話であります。というか、もういちいち言う事でもないですが、やはり私は嗚咽を堪える事が出来ませんでした。いつか、帰省して、彼らと沢山くだらぬ話がしたい。恩師にも会いたい。でも、今はまだだ。もう少し自分には時間が必要だ。一先ず、年末に超音波(エコー)検査受けて、正式な診断結果が出てからかな、との思いが頭を過ぎりました。その日も変わらず小春日和でした。

 

某日 一転して少し肌寒い一日。本来、長女の運動会の日だが、間の悪い事にインフルに感染してしまった彼女は、当然出場できずに、自宅待機。長女の友人も昨日になって発覚したとの事。絶賛インフル蔓延中。散歩がてら買い物を色々済ませ、帰宅後、次女を公園へと連れ出す。お遊び中に転んだ際、右手の小指を痛めたとかで泣き喚くので急遽帰宅。しかし、本日もよく歩いた。

 

某日 朝から氷雨、予報通り昨日よりも寒し。マジ、近年の天気予報の精度向上っぷりには目を見張る物がある。当然外出する気にはなど、さらさらなれず、さらさらのさらさーてぃさてさて、これを機に奥の物置部屋の整理に少しずつ取り掛かり始める(頓挫する事は目に見えているのだが、勢いは大事)。いやはや出るわ出るわ、地層から発掘されし化石の様な積ん読の山。それにしても棚に並ぶ日焼けした書籍の背表紙が物悲しい。西日が憎い。もっと厚手のカーテンを! 神保町の古書店がほぼほぼ北向きだというエピソードを思い出す。とまれ、書庫用の暗室、もとい一等前後賞併せて六億円所望。結果的に、少し床が見える状態にはなった。所詮は焼け石に水なのだが。夕食後、些細な事で泣き喚く次女に苛立つ。気が狂いそうだ、思わずそう口にすると、私はそれを4年間ず~っとやって来たんですけど、と、やや怒気を孕んだ妻の声。返す言葉無く、暫し沈黙。PCへと向かう。お風呂から上がった妻が私の背中を撫でながら、さっきはごめんね、と謝って来たので、いや、こちらこそ済みません。自分が100%悪かった、と返事をする。やはり"心と身体の調子を良くするお薬"は暫く服用し続けた方が良いのだろうか、と改めて思いつつ、結局服薬せずに就寝。

 

某日 7時前起床。体調頗る良し。ガシガシ洗い物を済ませ、次女を保育園に送り、その足で配信されていたクーポンを消費する為に、家から少し離れた某コンビニへと赴き、朝餉を購入。11時前にブランチを済ませ、外出の(映画館へと赴く)準備を滞りなく進める。運動会の振替で、小学校は本日休校。だが長女は変わらず咳き込んでいるので、当然外出は不可。食欲もさしてないようだ。昼ご飯はスープを温めて飲み、食後にはちゃんと薬を飲むよう告げる。分かった、との返事。さてさて、時間と体力を持て余す父は『ロスト・フライト』観賞。いやはや、思いがけない掘り出し物ではないか。ディティールを疎かにしていないのが良いし(神は細部に宿る)、敵味方問わず登場人物達がきっちり自分の責務を果たす様(THE 仕事人の面構え)も、テンポの小気味よさも相俟って、実に気持ち良い。良い(本来の)意味でのB級っぽさ。G・バトラーのセルフ・プロデュース能力が作品を重ねる毎に確実に成長している事も再確認。今後とも目が離せない。

 小一時間ほど散歩して、カロリーを消費し帰宅すると、家を出た時とほぼほぼ同じ状態で"廃人ソファ"に沈み込んだ娘が、iPadで何やらご観賞中だ。朝から変わらず暖房は点いたまま。ずっと点けっぱなしかと訊くと、そうではない、との返事だが怪しい物だ。昼食を食べた痕跡もなく、改めて訊けばまだとの事。時刻はとっくに15時を回っている。飲まなくちゃいけない薬は何種類? 食前?? 食後???と訊くと、昨日の時点で既に薬のストックは切れた、との事。なら、朝の返事はなんやったんねん。若干イラッとしつつ、何か食べたい物ある?と訊けば、うどんが良いとの事。昨日の残り物である鶏団子スープにうどんをぶち込み、強火で煮立てる。全部食べられそう? うん。鶏団子は?? 小さいの一個でいい。野菜は??? ちょっと。スープは少なめで。……注文の多い料理店じゃのう、と思いつつも、彼女なりにきっと色々辛いのだ、とも思い直す。今の自分がそうであるように。自分が傷つく事で、他人の痛みを慮り、寄り添えるようになるのです、神よ! 戯れ言はさておき、もう少し温かく接してやらなくては(Must思考ではないぞ)。ものの10分で、鶏団子スープうどん完成、配膳。ほぼ無言のまま、ゆっくりと口に運んでいく。まだまだ食欲はないようだ。

 夜、近所の万屋に服を売りに行く。20年近く着ていた(ここ数年は出番も殆どなかったが)G-ジャンが予想以上の高値で売れた。貧乏性な上に、物への愛着(いや、執着か)は強い方なので、少し惜しい気もしたが、悪いな。今は糊口をしのがなくてはならぬ。次の持ち主に愛されて貰ってくれ。にしても、全然ときめかねーな、おい!

 

某日 娘を保育園に送った後、その足で"午前十時の映画祭"へと向かい『ブラック・レイン』観賞。何度もソフト、或いはTVで観た事はあるが、銀幕では勿論お初。まだまだ日本が元気だった頃である。粗筋はほぼほぼ頭に入っているので、さして驚きも無く、いかにも"あの時代のアクション映画"といった風情で、タルさやツッコミどころはあるものの、逆光! スモーク!! 雨!!! アンバー!!!!といった、変わらぬ"サー"の刻印を大画面で観られるのは、遅れてきた世代にはやはり有難い。撮影監督のヤン・デ・ボン、今頃どこで何をしているのだろう。観賞後、いつものように街から住宅街から縦横無尽に散歩。再び暖かさが戻る。"小春日和"とはこれだ!と言わんばかりの素晴らしい陽気。完璧。しかし、大分散歩にも飽きてきた。ここら辺の路地裏はあらかた歩き尽くしたのではないか。何処か知らない場所へ、街へ行きたい。気の向くまま足の向くまま、存分に歩いてみたい。いざ、新天地を求めて!……等とつらつら考えていると、不意に、過去に自分がやらかした出来事を思い出して、悶々とし始める。あれですわ、風呂場でシャワー浴びてて、たまに羞恥に駆られ叫び出したくなる、あの現象ですわ。いかんな。ここはやはり"心と身体の調子を良くするお薬"を飲まなくては。という事で、某松屋にて軽く朝兼昼食を摂り、服薬。暫し歩いた後、帰宅。どうも生協さんが届いていたようなので、一通り家に仕舞う。半ば居候の身としては、家人が留守の間にこれ位の事はしなくては。